角膜外来
細菌性、真菌性、ウイルス性角膜潰瘍などの感染性疾患に対し、塗抹標本検査、分離培養検査、PCR検査等を行い、診断治療を行っています。重症例においては入院治療を行っています。
角膜移植が必要な水疱性角膜症や角膜混濁、円錐角膜、角膜ジストロフィに対し、全層角膜移植術および角膜パーツ移植(深層層状角膜移植術、角膜内皮移植術)を行っています。特に水疱性角膜症におきましては角膜内皮移植術を導入後、良好な成績が得られています。ドナー角膜は大分県アイバンクおよび海外アイバンクから提供を受けています。
また角膜上皮幹細胞疲弊症に対する自家培養口腔粘膜上皮オキュラル®の移植を2024年4月から開始しました。翼状片切除術は、再発例や重症例においては羊膜移植を併用しています。円錐角膜に対する特殊なコンタクトレンズも取り扱っています。
緑内障外来
原発開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、続発緑内障などの様々なタイプの緑内障に対する診断と治療を行っています。 緑内障に対する特殊検査は眼圧検査や視野検査(ゴールドマン視野計、ハンフリー視野検査)、視神経乳頭解析(OCT)を行っています。治療に関しては点眼治療を行い、眼圧コントロールできない患者さんにはレーザー治療や手術治療を行っています。
手術治療は線維柱帯切開術、線維柱帯切除術、白内障・緑内障同時手術などを年間200例程度行っています。緑内障手術治療は現在様々な機器が登場し進歩してきております。
当院でも全ての治療を網羅しております。患者さんの眼圧や視野の状態に合わせた手術侵襲の少ない低侵襲緑内障手術(iStent inject、トラベクロトミーマイクロフック、プリザーフロマイクロシャント)を行っています。血管新生緑内障に対しては抗VEGF療法やチューブシャント手術を併用した治療を行っています。
眼炎症外来
眼内の炎症性疾患を「ぶどう膜炎」と呼びます。その原因は感染症によるもの(感染性ぶどう膜炎)、感染症によらないもの(非感染性ぶどう膜炎)、悪性腫瘍などに分類されます。
(1)感染性ぶどう膜炎は、ヘルペスなどのウイルス、細菌、寄生虫などの感染によって生じます。当院で開発した迅速検査試薬が先進医療や外注検査として全国に普及し、診断が容易になりました。早期診断・病原体ごとの適切な治療により、視力などの予後が改善し、手術に至る症例が減少しています。
(2)非感染性ぶどう膜炎は、サルコイドーシス、フォークト・小柳・原田病、ベーチェット病がよくみられます。眼炎症が全身疾患の一部であることも多いため、全身検査を実施し、他科とも連携しています。 治療は薬物治療が主体で、副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤、生物学的製剤などを使用します。新しい薬剤(未承認医薬品等)についても厳格な審査の上で積極的に使用しています。
(3)腫瘍のうち、最も多い眼内リンパ腫はぶどう膜炎に似ていますが、悪性です。眼内液検査や全身検査に基づいた診断を行い、他科とも連携して、抗腫瘍薬を用いた治療(未承認医薬品等を含む)や放射線治療などを行っています。
※ 眼炎症外来の基本的な外来診療日は金曜日(午後)となりますが、ぶどう膜炎の合併症として緑内障や白内障が多いため、緑内障外来と同じ火曜日午前にも眼炎症外来を実施しています。
完全予約制のため、初診の方はまず一般外来を紹介受診されて下さい。
黄斑外来
網膜の中心で視力に最も重要な部位を『黄斑』と呼びます。黄斑部の障害は重度の視機能低下に繋がるため、疾患の早期発見・治療が重要になります。黄斑外来では加齢黄斑変性症を中心として、中心性漿液性脈絡網膜症などの黄斑疾患に対する検査・治療を行なっております。
光干渉断層検査(OCT)で病気の状態や治療の効果判定を行います。
加齢黄斑変性症は完治する疾患ではなく、治療の目的は病勢の鎮静化です。早期治療で視力の改善・視機能の維持が期待できます。治療には主に抗VEGF薬の硝子体注射を行います。病態や経過によって光線力学的療法(PDT)を併用することがあります。どんなに治療がうまくいっても再燃する可能性があるため、継続的な経過観察・治療が必要です。
ロービジョン外来
- 見えにくさにより、不自由を感じていらっしゃる方
- もっと見えにくくなったらどうすればいいんだろう?と不安を抱えていらっしゃる方
そんな方々の心に寄り添い、少しでも不自由さや不安を解消できるようお手伝いします。
情報提供
- 「1人で外出できない」
- 「知らない場所だと歩きにくい」
- 「見えにくくなって気分の落ち込みがひどい」
- 「学習に不安がある」
- 「生きがいや趣味を見つけたい」
- 「仕事のことで悩んでいる」
- 「障害年金」
- 「障害者手帳がとれるのか?等級が上がらないか」
など、ご相談をお受けします。
必要に応じて、どこに相談すればよいのかもご紹介します。
日常生活用具、便利グッズ
字を大きくする道具、音声を利用する道具、調理グッズ、便利なアプリなどをご紹介し、一緒に使い方の練習も行います。
見えにくさ体験
見えにくさにもいろいろあります。
ご本人の見え方がどんな感じなのか、どんな場面で一番困っていらっしゃるのか、シュミレーション眼鏡を用いてご家族やご本人と関わる方に体験していただくことができます。
ブラインドメイク
公益社団法人 化粧療法協会の大石華法会長が2010年に考案した化粧療法です。
視覚に障害があっても鏡を使わずにフルメイクができるようになる技法です。
現在、当科には3名の化粧訓練士(医師1名、視能訓練士2名)が在籍しています。
ブラインドメイクについての詳細は
日本ケアメイク協会HP(https://caremake.jp/learn/)でご確認ください。
※完全予約制です。初診の方はまずはかかりつけ医にご相談の上、一般外来を受診してください。
斜視・弱視外来
小児は視機能の発達において重要な時期で、発達の妨げになるような異常をなるべく早い時期に診断し、治療を開始する必要があります。
当外来では近視・遠視・乱視などの強い屈折異常による弱視(眼鏡をかけていてもいい視力がでない状態)、斜視(黒目の位置がずれている状態)を専門に治療しています。「視線が合わない」「片目をつむる」「首を傾けて物を見る」「目が揺れている」などのお子さんの目に関して気になる症状があれば早めの受診をおすすめします。
また、小児科とも連携して未熟児網膜症をはじめ、小児の全身疾患と関係した眼疾患も診ています。また成人の斜視等の検査や治療も行っています。
症例に応じては、全身麻酔下での斜視手術を施行しています。
■外来診療日 水曜日(午後)・金曜日(午後)です。
※斜視の手術前検査では 火(午前)・金(午後)になる場合もあります。