眼感染症網羅的PCR検査 一般の方へ

当科では、難治性の眼感染疾患に対する新しい検査を共同開発しており、平成28年1月1日から、先進医療「ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」と、「細菌又は真菌に起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」などを行っています。

詳細は、大分大学医学部附属病院広報誌「かけはし」でご覧いただけます。

大分大学医学部附属病院で現在取り扱っている先進医療一覧は病院概要のページでご覧いただけます。

先進医療とは厚生労働大臣が定める高度医療技術で、基準を満たす施設でのみ保険診療と併用できます。
適応症が定められており、自覚症状などから御自分で検査が必要かどうかを判断することは困難です。
初診の方は、かかりつけ眼科の先生が検査が必要と判断された場合に紹介状を持って受診して下さい。

眼感染症網羅的PCR検査 医療関係者の方へ

眼感染症網羅的PCR検査とは

概要

眼感染症網羅的PCR検査とは、前房水や硝子体などの眼科微量検体から多項目の眼感染症主要病原微生物を網羅的に検出できる新しい検査方法です。

「ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」と「細菌または真菌に起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」が先進医療となっています。

眼感染症網羅的PCR検査のひとつであるマルチプレックス・リアルタイムPCRキット「Direct Strip PCR」は東京医科歯科大学、理化学研究所、大分大学で共同開発されたものです。

DNA精製操作不要、用手操作は1分、検査時間35-55分と簡便で、わずか20μLの前房水・硝子体から直接PCRで9項目(HSV1, HSV2, VZV, EBV, CMV, HHV6, HTLV-1, 梅毒, トキソプラズマ)の網羅検出が可能で、角膜内皮細胞が少なくなったサイトメガロウイルス角膜内皮炎など、多量の検体採取が不安な症例に特に適しています。

現在すでに全国20施設以上で導入され、体外診断用医薬品申請(保険診療化)を目指しています。

目的

主要病原体を簡単な操作で網羅的に検出する。

構成

Strip1本(小さなチューブが連結)
1.5mLチューブ1本

項目

感染性ぶどう膜炎主要病原体9項目
単純ヘルペスウィルス1型・2型(HSV1-2)、水痘帯状疱疹ウィルス(VZV)、Epstein-Barrウィルス(EBV)、サイトメガロウィルス(CMV)、人ヘルペスウィルス6(HHV6)、ヒトT細胞白血病ウィルス1型(HTLV-I)、梅毒、トキソプラズマ

眼感染症 Direct Strip PCR

※GAPDHはPCRの陽性コントロール、TBPは検体採取のコントロール(細胞数を反映)

特徴

■参考文献

中野聡子:眼科医の手引 眼感染症主要病原体・網羅的迅速検査「Direct Strip PCR」. 日本の眼科 2018, 89(2):1673-1674.
中野聡子:感染性ぶどう膜炎のマルチスクリーニング検査. Medical Technology 2018, 46(12):1156-1157.
中野聡子:眼科ウイルス性疾患の新規診断法と他科への展開 DNA精製不要の網羅的PCR検査「Direct Strip PCR」. 臨床とウイルス 2018, 46(2) S49.
中野聡子:特集 臨床検体で科学する!「感染性ぶどう膜炎/眼内液」. Retina Medicine 2018, 7(1):34-38.
中野聡子:病原微生物検索のための新しい網羅的PCRシステム(解説),眼科手術 2017, 30(1):100-104.
中野聡子:網羅的迅速PCR検査による眼感染症診断(解説),眼科 2017, 59(12):1479-1484.
Nakano S et al.: Establishment of Multiplex Solid-Phase Strip PCR Test for Detection of 24 Ocular Infectious Disease Pathogens. Invest Ophthalmol Vis Sci 2017, 58(3):1553-1559.
中野聡子:【眼感染症の傾向と対策-完全マニュアル】知っておきたい眼感染症診療の動向 網羅的PCRによる眼感染症診断.臨床眼科 2016, 70(11) 増刊号:40-44.